ボービントン戦車博物館に行ってタイガーⅠの始動音を聴いてきた④170315

ボービントン戦車博物館に行ってタイガーⅠの始動音を聴いてきた④170315

ついに念願のタイガーⅠにご対面

荷物を道路に放置して遊んでいたので、ふと気付くとそこに車が止まりかけるのが目に入る。あわてて戻って自分のものアピール。親切心からだろうけど、こりゃスーツケース預けないと駄目だ(後でカウンターで預かってもらえた)

そしてタイガーⅠに人が乗っているのが見えたので、裏口にあった戦車を見がてら近寄ってみる。

[caption id="attachment_150" align="alignnone" width="300"] ファミコンウォーズに出てきそうな戦車[/caption]

ついでに歩数を数えてみる。大股で128歩で、距離にして約100〜150mくらい。最初は遠く見えたが、戦車の戦闘距離としたらゼロ距離射撃に近い。二次大戦時の戦車の通常の交戦距離が400〜800m、タイガーの88mmだと1000m以上でも余裕で敵を撃破可能と考えると、そんなに倍率もない当時の照準器で、よくそんな遠距離のターゲットを狙い撃っていたものである。しかも多くは相手が動いている状況で!

初めて生で見るタイガーは、神々しいまでだった。

そして何よりデカイ!いや、腰高のM4シャーマンを考えると小さく見えるくらいなのだが、圧倒的なカタマリ感と、無駄なものが一切ないという、兵器特有の機能美が、まさしく野生のケモノとしての圧倒されるほどの存在感を放っていた。

ボービントン戦車博物館のタイガーⅠは、唯一現存し可動するので有名だが、実際こいつは生きていると実感する。

動画でつぶやいている通り、自分はここに来るまでこのタイガーⅠの来歴を知らず、てっきり戦車エースのミハエル–ビットマンの車両を再現したと勘違いしていたのだが(ビットマン最期の車両番号は007だったが)、後で説明書きを読んでみると、この131車は初めて連合軍がほぼ無傷で鹵獲したタイガーⅠということらしい。

北アフリカやイタリア戦線で、連合軍を恐怖のズンドコに叩き込んでいたタイガーⅠは、当時演習場でもあったここボービントンにドナドナされてきて、イギリス軍の手で徹底的に研究されたのだ。

なんだかアリューシャン列島でほぼ無傷で不時着し、アメリカ軍に徹底解剖された零戦のようでもある。

しかし、急降下性能に欠陥を見いだされ、有効な一撃離脱戦法をアメリカ軍に編み出された零戦と違い、無双過ぎたタイガーⅠに対し、ファイアフライが実戦配備されたり、ヤーボ(戦闘爆撃機)による爆撃という、ある意味反則な対抗手段が確立されるまでは、ひたすら数で対抗するという戦術しか連合軍は選択肢がなかった。

西側諸国をして、まるで中共人海戦術のような、人命軽視の戦法しか取らざるを得なかったところに連合軍首脳の苦悩と闇を感じるが、実際にタイガー相手に、数だけの優位で消耗戦に挑まざるを得なかった現場の戦車兵の恐怖はどれほどのものだったろう。

言うなれば、ザクに対MSミサイルだけで歯向かうようなものだ。無謀極まりない。

その⑤に続く。