ボービントン戦車博物館に行ってタイガーⅠの始動音を聴いてきた⑥170315

ボービントン戦車博物館に行ってタイガーⅠの始動音を聴いてきた⑥170315

そしてイキナリのタイガーⅠエンジン始動開始!

さて、そんな一般人の女性も多くいる中、タイガーシリーズのポルシェ砲塔のタイガーⅡ、通称ロイヤルタイガーを見て、Ⅰにはない被弾経始の要素も含んだタイガーⅡのシルエットの機能美(個人的にはヘンシェル砲塔のが好み)はある意味至高だな〜と感心していると、名状しがたい耳をつんざくエンジンの始動音が響き渡る。

さっきから整備をしていたタイガーⅠがついにクランク始動を試みたのだ。

大型トラックのそれより明らかに重く、相反するようだが、しかし高音なそれは、まるで鋼鉄の咆哮そのものだった。

もう一度長めに始動を試みて、エンジンが掛からないことが分かると、最後の虎をいたわって今日の始動テストが終了したことがアナウンスされた。

残念だが、古い物を大事にするイギリスのこういう文化は敬服に値する。自分としても、タイガーⅠの咆哮を生で聴けただけで、ここまで来た甲斐があると断言できる。

この日は4月末に開かれるタイガーフェスティバルの、おそらくはHP写真の撮影も行われていた。

チラッとカメラマンのパソコンで見えたその写真は、色調を抑えた迫力ある一枚で、肉眼で見るより凄みを感じるくらいの出来に、やはりプロはちがうな〜と唸らされた。

あと面白かったのが、タイガーⅠのマイバッハエンジンのカットモデルで、まるで金管楽器の操作部のように、バルブロッカーアーム類が微妙にオフセットされつつ芸術的に配置されている。

諸外国の戦車をはるかに凌ぐ高級品だったタイガー戦車が、Ⅰで1500輌と、Ⅱで500輌で合わせても約2000輌に対し、総生産数シャーマン5万輌やT34は最多の6万輌もあることを考えるといかにも少ない。

エンジンがどれだけ精緻に造られていても、連合軍主力戦車に対して五十分の一以下しか量産できなかった証拠のようで、「ナチス独逸の技術力は世界一ィィィ!!」であったのは事実として、戦争に勝つのに必要なのは何より物量だな〜と、浪漫のない結論に改めて納得させられた。

ちなみにこのカットモデルは、もともとは唯一生き残ったタイガーⅠのエンジンだったようで、今タイガーⅠに載っているのは他のタイガーⅡから移植されたものらしい。

なので厳密に言えば、オリジナルなタイガーⅠではないということになるが、そんな瑣末なことで最後の虎の有難さにケチが付くなんてことは、金輪際あってはならないのだ。

車のレストアなんかでは、オリジナルコンディションであるかどうかで、天と地ほども価値に差が出ることがザラだが、オリジナルでないと価値を見出せないというのは、本当の愛ではないと自分は思う。

・・・あ、でも人間の場合は改造人間よりも、オリジナルがいいと思いますよ〜〜。って矛盾してますかな。。

その⑦に続く。