団塊ジュニアと74式戦車

 

ナナヨンには様々な思い入れがある。かつて駐屯地の基地祭で見れる戦車といえば74式だったので、一番身近な戦車といえばコレだった。

 

いうなれば、1974年正式採用の74式戦車は、同じ世代の団塊ジュニアの、一つの象徴でもあるのだ。

 

期待されたのに、配備された時には時代遅れ。数だけはあるが、見る人が見れば張り子の虎同然で、戦力としては期待されず。。

 

そんな哀しきナナヨンに、今も深い思い入れがある、私も哀しき団塊ジュニア世代である。

 

なんてラジカル!団塊ジュニア

 

誕生日だけは好きなものを買ってもらえたが、たしか小四か小五の頃に初めて買ってもらったラジコンが、74式戦車のラジコンだった。

 

今でこそ、小倉智昭さんといえば、朝の顔だが、八十年代半ば、ミニ四駆が流行る前に一大ラジコンブームがあった。

テレ東系列でしょっちゅう放送していた、タミヤRCカーグランプリでの小倉智昭氏の軽妙なナレーションが、団塊ジュニア世代には印象が強い。

「バイバイのバーイ!」という彼のお決まりのセリフにノスタルジーを感じる人も多いだろう。

 

何しろ、団塊ジュニアはギリギリ最後のスーパーカー世代でもあるので、ラジコンカーにはロマンを掻き立てられたものである。

より速いオフロードラジコンがもてはやられる中、砲塔もリモコンで旋回しない、鈍重な74式戦車は、誰からも羨ましがられなかったが、完全リモートで操縦できるだけで大興奮したものだった(コードのついたリモコン戦車はあった)

 

動かなくなっても、中学生の頃まで持っていたが、周囲で局所的に流行っていた花火戦争ごっこにより(今なら問題無用で駄目だが、クソ面白かった)、最終的にはジムキャノンのプラモと一緒に、手持ち連発打ち上げ花火の標的になり、最期は爆竹で木っ端微塵という、実際の兵器と似たような末路となった。南無。

 


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さて、どういう経緯で入手したかも分からないが、名著「ドイツ機甲軍団」「ドイツ艦隊」や、松本零士新谷かおるの戦場ロマンシリーズが、小学校低学年からの愛読書だった自分は、周囲のお兄ちゃんたちからの英才教育もあり、立派なミリタリーファン(注:ミリオタではなく!)としてすくすく育った。

なので今でもポケット戦艦大好き♪

通商破壊戦は大事派なので、桃鉄も戦略と戦術を駆使し、嫌がられる。。


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両さんのミリオタ分類では、ガノタ(ガンダムオタク)とミリオタは水と油と言われているが、それは自家中毒になりやすいからだろう。

突き詰めれば突き詰めるほど、知識による矛盾に耐えられなくなるのである。

 

 

その点、自分は陸海空も古今東西も関係なく、ガンダムもSFも楽しめる、ミリタリーファンレベルなのでお得である。

「自分が楽しめるかどうか」が基準であって、知識の絶対性とかにはあまり興味がないのだ。ロマンがあれば許せる。

 

 

さて、そんなミーハーなミリタリーファンが、74式戦車を解析したらどうだろう?

 

以下は、学術的な裏付けは一切ないと断った上での、ほとんど妄想の文章なので、違うと言われても「ハイそーですか」としか答えられない。

しかしそれでも、実戦処女、つまりコンバットプルーフのない74式戦車ちゃんの強さ弱さを、自分なりに分析したものになります。

 

105mm戦車砲の威力

うろ覚えの知識だが、105mm戦車砲の威力は、1トンの車が130km/hで壁に激突したエネルギーに匹敵すると聞いたことがある。

物理学で容易に検証できるので、やれる人は実際に計算して欲しいものだが、実感としてイメージできる威力も、大体そんなところだろう。

紛争地での戦車YouTube動画の、T72あたりの戦車砲も、あまり極端なまでの威力は感じられない。

建物自体を吹き飛ばすほどの威力ではないものの、まあ車が猛スピードで突っ込んだくらいの衝撃と噴煙は見てとれる。

 

それが徹甲弾によるものか、榴弾によるものかでもまたずいぶんと違うはずだが、ダンプとまではいかなくとも、乗用車が猛スピードで突っ込むエネルギーとなると、相当なものと言える。

さらに、榴弾の爆発はまた別にプラスされると考えられるが、現代の戦車の榴弾は、HEAT-MPという対戦車にも使える成形炸薬弾で、従来の榴弾とは原理からして違うのだが、それはおいておく。

 

この105ミリ砲が74式戦車のL7A1と呼ばれる、ラインメタル社製のものかは不明だが、74式戦車の攻撃力はざっとそんな感じだろう。

 

 

さらに対戦車徹甲弾となると、ダーツのような細長い矢を、サボット付きの砲弾で射出するAPFSDSとなり、エゲツない貫通力を発揮するようになる。

 

本来、ライフル砲である74式の主砲は、滑腔砲向けのAPFSDSを撃つのに適していないのだが、何らかの形でライフリングによる回転を抑える魔改造をして、APFSDSの発射を可能にしている。

 

かくして、従来の徹甲弾に比べて、ケタ違いの攻撃力を持つに至った74式戦車だったが、防御力はどうだろう?

 

 

74式戦車の防御力


74式戦車は美しい戦車である。バランスの取れたプロポーションといい、避弾経始に優れた砲塔や車体といい、なんとゆーか“美人”な戦車である。

別に、美人だからといって、74式戦車を見て(;´Д`)ハァハァするまではいかないが、きっと各国のメインバトルタンク(MBT)の間に並べられると、多少はか弱い印象になることだろう。

 

要するに、小さいのだ。特に車高を油圧で自由自在に変えられるナナヨンは、油圧ゼロだとシャコタン車並みにペッタペタになり、戦闘車両としては驚くほど低車高となる。

土浦の基地祭では一番驚かされた。

 

小さく低いのは、被弾の可能性が減る点で利にかなっている。

しかし、74式戦車は車重も軽すぎる。38トンという車重は、二次大戦時の戦車を引き合いに出すなら、アメリカ戦車だとM4シャーマンの30トン強からM46パットン44トンの間、ドイツ戦車ではⅣ号戦車G型で30トン弱、中戦車のパンターですら44トンにもなる。

 

現代の主力戦車(MBT)の装甲厚は軍事機密なので、当然74式戦車も公表されていない。

しかし複合装甲が装備されるまでの戦車は、「重さ=装甲の厚さ」の図式がほぼ成り立つので、複合装甲がまだ開発されていない世代の74式では、第二次大戦の重戦車にさえ装甲で劣ると言わざるを得ない。

 

斜めに傾けた装甲の避弾経始のよさが、防御力の向上に役立った時代もあった。

しかし、高初速によるユゴニオ弾性限界を利用し、金属を高圧力で流体のようにして貫くようになってからは、避弾経始では弾くこともできなくなり、鉄だけの装甲が紙同然になってしまった。

何しろAPFSDSは、均質圧延鋼装甲だと、なんと1000ミリにも及ぶ貫徹力を発揮するのだ(驚愕)

1メートルの装甲なんて、戦艦大和でも持っていない(主砲防盾で660ミリ)

 

なので残念ながら、優美な避弾経始を誇る74式戦車でも、良くて中空装甲なので、現代戦車はおろか、下手すると二次大戦時の重戦車にも、簡単に撃破されてしまう可能性がある。

 

まあもっとも、ほぼ同時代の戦後第二世代のレオパルド1なども、「当たらなければどうということもない」という設計思想のもと、防御力を犠牲にして、機動性に振っている。

 

なので下手すると、正面装甲すら簡単に貫通されてしまうのかもしれない。

 

つまりは残念ながら、74式戦車は戦車としてはかなり弱いと認めざるを得ないのだが、そもそも正面きっての戦車同士の殴り合いのための戦車ではないのである。

 

 

かつて、紙装甲でも活躍した戦闘車両があった


第二次大戦時、手持ちの戦車がほとんどソ連のT34に歯が立たないことを知った旧ドイツ軍は、旧式化した戦車の砲塔を外し、大量にろ獲していたソ連の野砲を載せて対戦車車輌とした。

装甲なんてないも同然だったが、ドイツ軍将兵の技量と敢闘精神により、三号突撃砲や88ミリ高射砲と並んで、かろうじてT34に対抗する戦力となり、戦線の崩壊を防いでいる。

主に防御戦で力を発揮した、それらマルダーⅡをはじめとする対戦車自走砲の運用思想が、現代の日本の戦車運用の思想と似ている部分が多い。

 

どちらにも共通するのが、まず「待ち伏せ」を基本としたヒット&アウェイ戦術だろう。

一発でももらったら終わりなので、とにかく被弾する可能性を減らす立ち回りをするのである。

 

旧ドイツ軍の対戦車自走砲は、正面投影面積の小ささを利用し、自衛隊の戦車は、カモフラージュの他、自慢の油圧サスペンションにより、傾斜地でも低く安定した射撃姿勢を活用した「待ち伏せ」攻撃を得意としている。

 

  

自衛隊アメリカ演習ドキュメンタリーの衝撃

 

と、ここまで書き連ねてきて、なんとか我らがナナヨンに花を持たせて終わりにしたかったのだが、あまりに残酷なテレビドキュメンタリーがあったのを思い出してしまった。

 

北海道のある師団が、演習のためはるばるアメリカまで遠征したドキュメンタリーだった。

中隊規模の90式戦車10両を中核戦力として、歩兵戦闘車やバイクを含む偵察部隊までの大所帯で、アメリカ軍との実戦的な合同演習をする内容だった。

 

遠征部隊隊長は、アメリカの士官学校で日本人として初めて教鞭をとったこともある、切れ者っぽい指揮官だった。

 

東京都が丸々収まるという、広大な砂漠の演習場にいくつも設けられた架空の街があり、エキストラの住民までが住む、きわめて実戦に近い環境で、アメリ海兵隊と連携しつつ米軍アグレッサー部隊に対抗する演習。

 

ここで、初めての実戦的な演習で戸惑うことも多かったのか、自衛隊は何度も全滅に近い損害を受けることになったのだ。

 

敵ヘリを見掛けたのに、漫然と進撃し、間接射撃の餌食になったのはまだ分かる。

 

しかし、最後のアグレッサー部隊の大攻勢相手に、稜線に位置取りした、得意の待ち伏せ戦術を駆使したにもかかわらず、キュウマルが半数以上被弾の大損害を受けているのである。

 

日本の演習でもよく使われるバトラーシステムのような、レーザーによる被弾判定だから、実際に貫徹されて撃破されたかまではよく分からないが、半数の損耗では全滅と言って差し支えない。

相手も大損害を受けているので、痛み分けとなっているが、なんか釈然としない。

 

道路上を曝露されて侵攻するアグレッサー部隊に対し、横合いから撃ち下ろしとなるはずの有利な状況だったのに、キュウマルがそんなに損害を受けたのも信じがたかった。

おそらく、自衛隊お得意の、車体制御も駆使してのハルダウン射撃(稜線から砲塔だけ出しての射撃)もやったはずなのに。

 

しかし、敵の弾が当たったことは間違いないのだ。

 

となると、冷静になって考えてみて、実戦では正面装甲は厚いキュウマルなら何とかなるかもしれないが、正面装甲も現代基準では紙のナナヨンは、実戦では怖くて使えないということになってしまう。ナンテコッタイ(ヽ´ω`)

 

 

う~ん。どうやら、これは知識の沼にはまりこんでしまったらしい。軽い知的お遊びと考えて考証をすすめてきたが、考えれば考えるほど、74式戦車の早期退役しか道がない気がしてきた。まだまだ戦えることを証明したかったのに。

 

まあでも、戦車は現代の非対称戦でも、戦力の要になることが証明されているし、保有しているだけで、相手に陸戦を躊躇させる抑止力となるので、やはり一定数は確保しないとなー、という一般論で締めくくりたいと思います。

 

いや、ナナヨンは良い戦車だよ。ワールドオブタンクとかのゲームでの評価は、やらないから知らないけど(そもそも出てるのかな?)、自衛隊の技量の高さによる、数字に現れない“強さ”もきっとあると思う。

 

つまるところ、こんなグダグダと結論の出ない議論で終わって、実戦を経験しないのが、やっぱり一番なんだろうな~と思いますです。ハイ。